2026.07.30

古民家改修、一つの家をめぐる「男たちの男気」の記録

知り合いの方から、古民家改修の依頼をいただきました。 青野原地域ではありませんが、モッケヤのJapandiテイストを気に入ってくださり、お手伝いさせていただくことになりました。

屋根裏に眠る「天長地久」

解体していく中で、屋根裏から思わぬ発見がありました。 昔の大工さんは、木と木を釘なしで組み合わせるため、すべての柱や梁に「い・ろ・は」や「一・二・三」という符号(番付文字)を墨で書いていたそうです。 そして家の一番高いところ、棟木には「天長地久」の四文字。この家が永遠に崩れないことを願う呪文であり、「この家を永遠の建築にする」という職人の宣誓書のようなものです。

棟札に並んだ3つの名前

古民家の屋根裏。天長地久や、富主、棟梁、石工の文字

さらに棟札を見ると、3人の名前が刻まれていました。

まず「富主(とみぬし)」。棟札に「施主」ではなくこの言葉が使われているのは、単に「お金を払った人」という意味ではありません。地域の発展を願い、私財を投じて立派な建物を建てた地主や豪農など、「地域の名士」にしか使われない特別な敬称です。つまりこの家は、当時の村や町でも一目置かれる特別な建築だったということが分かります。

そしてもう一つ気になったのが、「石工(いしく)」の名前が残っていたこと。 普通の民家であれば、石工の名前まで梁や棟札に刻むことはまずありません。名前が残っているということは、この家が立派な石垣(石場建て)や特注の束石の上に建てられた、本格的なお屋敷だった証拠です。

昔の職人社会では、棟札に名前を連ねることは末代までの名誉でした。 富主が大きな夢を語り、石工が完璧な基礎を固め、棟梁が釘なしの美しい梁を組み上げる。「俺たちの技術で、この土地に100年残る最高傑作を作ってやる」という、男たちの熱いドラマと結束力が、そのまま形になって残っているのです。

天長地久。それは昔の職人だけの願いではなく、今の私たちの願い、誓いでもあります。